2024年の締めくくりとして、DOウティエル・レケーナの2024年ヴィンテージの年度(2023年10月~2024年9月)を、統制委員会の統計をもとに振り返ってみたいと思います。
今年度はひどい干ばつ、寒い春、夏の熱波による厳しい一年でした。収穫量は159 000 000 Kgで、前年度の133 000 000 Kgの20%増になっていますが、2023年ヴィンテージが2000~2022年ヴィンテージの平均値の23%減だったことを考えると、喜んではいられません。2024年ヴィンテージはここ25年で最も少なかった昨年、2012年、2014年に続く不作の年でした。
気候変動は数値に出てきています。ここ3年間は降水量が大変少なく、今年度は290㎜と平均値の422㎜よりはるかに少なかったのですが、ここ15年ほどの変異を見ると、降水量は不定期的に増えたり減ったりしています。一方平均気温の上昇傾向は明らかです。ただ、近年は干ばつで、ブドウの実が熟する時期が乾燥しているため、病気もなく、健全で品質が高い収穫になるというポジティブな面もありました。
D.O.ウティエル・レケーナ 年間降水量(10月〜翌9月)推移
D.O.ウティエル・レケーナ 平均気温推移
10月29日にバレンシア地方を襲った記録的な豪雨により、インフラや設備、ブドウの畑や垣根作りの仕立て、農道周辺、農機具などにかなり被害はありました。けれども幸い、DOウティエル・レケーナ認定地域内では収穫が全て終了していたため、救われ、2024年ヴィンテージは問題なく、良いワインを楽しんでいいただけます。
DOウティエル・レケーナのワインは、最新の統計(2023年)によると、出荷量では、総出荷量23,310,772ℓ中、輸出が56%で、国内消費の44%を上回っています。最大の輸出相手国は英国、次いでオランダ、ロシア、そして僅差でドイツ、中国、カナダが並び、アイルランドの次、第8位が日本です。
タイプ別ではスペイン国内では白29%、ロゼ6%、赤65%ですが、海外市場では白24%、ロゼ16%、赤60%です。日本市場の場合、総輸入量407,436ℓのうち白が46%(187,729ℓ)、ロゼが6%(25,862ℓ)、赤が48%(193,845ℓ)で、白と赤の割合が近いのが大きな特徴と言えそうです。
DO ウティエル・レケーナのワインは、白、ロゼ、赤、どのタイプにも日本の食卓にならぶ料理に合わせやすいものがたくさんあります。2024年、様々な場面でお試しいただいたことと思います。ありがとうございました。2025年もDOウティエル・レケーナのワインをどうぞよろしくお願いいたします。