ボバルの赤ワインの産地、DOウティル・レケーナは、地中海の大ビーチリゾート地帯を擁するバレンシア州にあります。ただ、ビーチからは70㎞も内陸で、山に囲まれていて、その海抜は平均720mあります。
気候は地中海性ですが、標高の高さもあって、大陸性の特性を強く持っています。そのため、大変暑い時期と寒い時期の気温差が大きいこと、特にブドウが色づき始めて以降の日較差の大きいことが、白とロゼの場合はフレッシュで生き生きした感覚を与える酸味を、ロゼと赤の場合は耐久性、赤の場合はポリフェノールの凝縮感をもたらしてくれます。
この地域は降水量がごく少なく、量が不定です。年平均400㎜程ですが、最も少ない時は年間150㎜のこともあります。平均年間日照時間は2,700時間です。ブドウの実が熟していく期間にほとんど雨が降らないので、畑に太陽が当たっている時間が長く、カビや菌による病気が発生する危険が少なく、通常、抗菌剤等の農薬を使う必要がないため、環境にも優しい状態が保たれています。
土壌は粒子の大きさでは、だいたいロームで、中程度の傾斜地にある土地の場合、大小の石ころが混ざっていることが多く、砂や沈泥、粘土のバランスがとれています。 ブドウ栽培面積は31,565 haあり、バレンシア州のなかでは最大規模を誇ります。現在ワイナリーは116社、原産地呼称統制委員会に登録しているブドウ栽培農家は約4,390軒に上ります。
栽培されているブドウ品種は、黒ブドウではボバル、テンプラニーリョ、ガルナチャ・ティンタ、ガルナチャ・ティントレラ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シラー、ピノ・ノワール、プティ・ヴェルド、カベルネ・フラン、グラシアノ、モナストレル。白ブドウはマカベオ、メルセゲラ、タルダナ(プランタ・ノバ)、シャルドネ、ソービニョン・ブラン、パレリャダ、ベルデホ、モスカテル・デ・グラノ・メヌド、ヴィオニエ、チャレロ、ゴデーリョ、ガルナチャ・ブランカ、アルバリーニョ、トルトシです。
地場品種ボバルでは、フレッシュ&フルーティで快い赤やロゼはもちろん、熟成タイプの赤に素晴らしい品質のものが増えています。地場品種タルダナの白ワインも外せません。